(2) インマルサット海事衛星通信すでに多くの外航船に装備されて使用されているインマルサット海事衛星通信も、GMDSSの一部である。現在、直径が0.8m程度のパラボラ・アンテナを使用して、電話、ファクシミリ、テレックスなど主として一般通信に使用されているインマルサットA、ほぼ同様のアンテナとディジタル音声などディジタル通信を使用するインマルサットBと無指向性のアンテナも使用できるテレックスのみのインマルサットCの各船上装置がGMDSSに適用できるが、主役はインマルサットCである。特に海上安全情報の受信には、高機能グループ呼出(Enhanced Group Call:EGC)が用いられる。
(3)非常用位置指示無線標識(Emergency Position lndicatin Radio Beacom:EPIRB)船舶の遭難沈没時に自動的に浮上して遭難信号を送信できると同時に、遭難位置の特定にも使用される遭難信号用の浮標(船上でも送信可能)である。VHFのDSCを利用するVHFEPIRB(我が国では適用例はない)と、低軌道の周回衛星利用のCOSPAS/SARSATシステムを使用する406MHz EPIRBと、インマルサットの静止衛星を使用するLバンドEPIRBの3種類がある。我が国では、現在のところ406MHzのみが使用されているが、このシステムは、衛星で受信した遭難通信の電波を地上局に送り、地上局では通信情報の解読と同時に、計算によって送信EPIRBの位置決定ができるものである。他のVHFEPIRBやLバンドEPIRBは、共に位置情報を自動的または手動で挿入する必要がある。